『SPY×FAMILY』Season 1 この調子だとSeason 10くらいやっても大して進展しなそう。 いずれ完結するにしても、デズモンドとの接触を得るというオペレーション〈梟(ストリクス)〉の完遂以外の地点に落着するしかないようには思う。アーニャが不出来だからと…
『千年女優』 リバイバル上映で、十数年ぶりに観た。 * 藤原千代子の数多の出演作における、反復に次ぐ反復。作中に現れるあやかしの回す糸車のイメージは、それを停滞でありまた呪縛であるかのように見せている。 しかしその実、反復は、コイルのようなは…
『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』 友達がいっぱい欲しいというルイの願いを聞いたウッコモンは、世界中の人をルイと同じ境遇にすることが、ルイの願いを叶えることだと思い込み、すべての人にパートナーデジモンを与えようとする。 4歳の誕生日…
星期一回收日漫画; 陳巧蓉原作『ネコと海の彼方』(MFC) そうだ! もしも 言いたくないことが あったら 私たち ネコ語を使って 話そうよ! (p.28) こう言ってふたりは、ときに神妙な面持ちで、ときにしたり顔で、しばらくネコ語のやりとりをする。「ミャ…
小泉今日子『小泉今日子書評集』(中央公論新社) その本を読みたくなるような書評を目指して十年間、たくさんの本に出会った。読み返すとその時々の悩みや不安や関心を露呈してしまっているようで少し恥ずかしい。でも、生きることは恥ずかしいことなのだ。…
『ひろがるスカイ!プリキュア』#8「飛べない鳥と、ふしぎな少年」 ソラ「辛いライス、最高!」 ましろ「カレーライスだよ」 ソラ「ほぇ、辛いからカレーっていうんじゃないんですか?」 ましろ「それが違うんだよねー。ちなみに、カレイって魚もいるよ」 …
『Winny』 社会的な問題、警察組織の問題等がさまざま絡み合うように構成されてはいるが、軟弱な私はただ、金子勇という魅力的な人がいたことの記録の映画と思いたい。数々の遺品を映画に登場させること。当時の時代のPC環境や画面表示の再現。さらに遡って…
『天上の花』 三好達治への共感・理解を全くしかねるように作られていて、それは良かったように思う。 売れない、お金にはならない価値というものがあるはずなんだと言う一方で、心の離れた妻を引き留めるためにはお金を渡すことしか思い付けないアンビバレ…
『さかなのこ』 彼女を紹介するために、ヒヨはミー坊をホテルのレストランに呼び出していた。テレビ業界で働くヒヨは、売り出し中のタレントと付き合っているのだった。 三人での会食が進むうちに、魚博士になりたいというミー坊の夢に話題が及び、ヒヨの彼…
『犬王』 異形のために父から疎んじられ、猿楽の家に生まれながら舞台から遠ざけられて育った子が、周囲に群れ集う平家の亡霊の声を聞く。やがて自らを犬王と名乗り、亡霊から聞き拾った、いまだ世の誰にも語られたことのない平家の物語の数々を、独自に新作…
『やがて海へと届く』 すみれの遺品を渡すために、すみれの実家を訪れた真奈と遠野。それを迎えた母親は言う。すみれが中学生の頃から対立するようになり、娘のことをどこかしら遠く感じていたが、いなくなったことで、今はかえって近くなったように思う。あ…
『グッバイ、ドン・グリーズ!』 中学の課外学習のときにチボリがロウマのカメラを借りて撮った一枚の写真。それに目を留めたドロップに、こんなきれいな青に染まった写真を自分は撮れないとロウマは言う。しかしドロップはその言葉を訝って、この写真でチボ…
『BanG Dream! 2nd Season』#12「Returns」 ライブ直前になってたえは、「Returns」のラストに詞を書き加える。「ありがとう…/心が震えだす歌 Returns」と。 * 「Returns」については、それまでにも曲中で歌われている。「心震わす歌 Returns」、あるいは…
『トロピカル~ジュ!プリキュア』#40「紡げ! みのりの新たな物語(すとーりー)」 「マーメイド物語」には、駄目なところがいっぱいある。キャラクターも物語もありがちで、自分自身の経験したことが入っていない――。 かつて自作に向けられた批判を、みの…
『竜とそばかすの姫』 仮想世界〈U〉で活動する自らの分身、〈As〉。少し悩んだ末、鈴はそれを「Bell(ベル)」と名付ける。鈴だからベル。素朴な名付けだ。 ベルがその歌声を披露して間もなく、〈U〉はベルの話題で持ちきりになる。その中で、誰からかこ…
『呪術廻戦』#24「共犯」 釘崎が人生の席の話をする。 「[……]伏黒じゃないけどさあ、結局助けられる人間なんて限りがあんのよ。私の人生の席……ていうか……そこに座ってない人間に、私の心をどうこうされたくないのよねー。冷たい? ま、あんたみたいに、自…
吉本隆明『吉本隆明拾遺講演集 地獄と人間』(ボーダーインク) [……]僕らも、近親者をいくたびか見送ったことがありますけど、答えられないんですよ。兄貴の長女が子宮癌で亡くなりましたけど、そのときもそばにいて、「叔父さん、どうかんがえたらいいの…
ローザ・ルクセンブルク;大島かおり編訳『獄中からの手紙 ゾフィー・リープクネヒトへ』(みすず書房) 昨夜、九時ごろのこと、また一つすばらしい光景を見ましたよ。ソファーに座っていると、窓ガラスにバラ色の反射光がきらめいているのに気がつきました…
シェリー;小林章夫訳『フランケンシュタイン』(光文社古典新訳文庫) 「(……)おまえがまだ生きていて、おれに対する復讐の気持ちを抱き続けていれば、おれが死ぬより、生きている方が心は満たされたはずだ。だが現実はそうではなかった。おまえはおれを消…
長谷川宏著『幸福とは何か ソクラテスからアラン、ラッセルまで』(中公新書) 序章にあらわれる、幸福についての導入のための言説の一々に疑いを抱かずにいられなくて。それでも本論に入ればどうにかなるかと思っていたが、序章における著者の見解に軸足を…
『ごっこ』 ヨヨ子が「BB弾!」と言って抓んだBB弾をじっと突き出す、そのたびにボクは「お前はそれ見つけるのの天才やなー」と返す。それは一度として「もうええわ、それはもうわかったわ」などと省かれることがなくて。 このような、決め事のようなやりと…
『わたしは光をにぎっている』 自分は光をにぎつてゐる いまもいまとてにぎつてゐる 而もをりをりは考へる 此の掌(てのひら)をあけてみたら からつぽではあるまいか からつぽであつたらどうしよう けれど自分はにぎつてゐる いよいよしつかり握るのだ あん…
『嵐電』 ときに思いと裏腹に、人と人とは疎遠になる。 * この映画に登場する三組の男女は、妖怪電車に出合い、いずれも突然の別れを迎える。 嵐電に現れる狐と狸の妖怪電車。それを目撃すると、大事な人と別れてしまう。そんな都市伝説があるという。しか…
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 戦争とこれほど近くありながら、手紙の中にはきれいな愛しかない。いさかいや、絶離を告げる手紙は、この世界には無いのだろうか。そういう仕事はヴァイオレットのいる部署・会社とは違うところで受け持っている? そ…
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』を観てシナリオえーだば創作術のミュウツー周りの記事を読み返してたら昨日という日が終わった。 上層部は、アニメを派手に見せるため、CGを使いたかったらしいが、日本のCGは、当時、発…
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』 私はウイルスだ、とウイルス自身が言っていることをそのまま真に受けてよいものか。 ウイルスと称するものが現れたのが突然なら、ワクチンだというものだって勝手に用意され渡されたにすぎない。それを渡されるままに…
岡本太郎『迷宮の人生』(アートン) 昨年の終わり頃からダダ・シュルレアリスム関連の本をいくつか読んできた流れで、最近は岡本太郎についてぼつぼつ読んでいる。 私は生きている瞬間瞬間、迷宮のなかをくぐり抜けている思いだ。 目の前が突然明るくひろが…
『薄暮』 「震災以後」の齎すべき、イマジネーションの決定的な変容。東日本大震災の直後は、それを競うような言説が賑わっていた。しかし、震災以前であれ以後であれ、変わらないものがあるはずだと、この映画は言っているように思える。 * 震災によって全…
『海獣の子供』 琉花が、自分の手を引く海の手の熱さを感じ、守ってあげなくちゃ、と強く思うこと。その直後、台風の中を傘も差さず海と二人歩いていく琉花を、漁港の人がみとめること。 傘を差さないのは、先ほどの決意がたちまちそういう形で現れたのだと…
『劇場版 響け♪ ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』 キャストの中に寿美菜子の名前を見つけたので少し元気が出て、観に行くことにしました。 * 部の今年の目標の決を採る場面では、あすか先輩の不在に泣きたくなりました。一方、とにかく上手くなりたい…