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いばら姫ぱにっく!

『SPY×FAMILY』Season 1 この調子だとSeason 10くらいやっても大して進展しなそう。 いずれ完結するにしても、デズモンドとの接触を得るというオペレーション〈梟(ストリクス)〉の完遂以外の地点に落着するしかないようには思う。アーニャが不出来だからと…

わがロータス蓮の華

『千年女優』 リバイバル上映で、十数年ぶりに観た。 * 藤原千代子の数多の出演作における、反復に次ぐ反復。作中に現れるあやかしの回す糸車のイメージは、それを停滞でありまた呪縛であるかのように見せている。 しかしその実、反復は、コイルのようなは…

いずれの人にもすべて、その人のデジモンを

『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』 友達がいっぱい欲しいというルイの願いを聞いたウッコモンは、世界中の人をルイと同じ境遇にすることが、ルイの願いを叶えることだと思い込み、すべての人にパートナーデジモンを与えようとする。 4歳の誕生日…

「みんなニシンを馬鹿にしている!」

『ひろがるスカイ!プリキュア』#8「飛べない鳥と、ふしぎな少年」 ソラ「辛いライス、最高!」 ましろ「カレーライスだよ」 ソラ「ほぇ、辛いからカレーっていうんじゃないんですか?」 ましろ「それが違うんだよねー。ちなみに、カレイって魚もいるよ」 …

袋小路の再会

『犬王』 異形のために父から疎んじられ、猿楽の家に生まれながら舞台から遠ざけられて育った子が、周囲に群れ集う平家の亡霊の声を聞く。やがて自らを犬王と名乗り、亡霊から聞き拾った、いまだ世の誰にも語られたことのない平家の物語の数々を、独自に新作…

天涯を比隣とする

『グッバイ、ドン・グリーズ!』 中学の課外学習のときにチボリがロウマのカメラを借りて撮った一枚の写真。それに目を留めたドロップに、こんなきれいな青に染まった写真を自分は撮れないとロウマは言う。しかしドロップはその言葉を訝って、この写真でチボ…

「すごい……みんなの歌になっちゃった。帰ってきたって感じ、ポピパに」

『BanG Dream! 2nd Season』#12「Returns」 ライブ直前になってたえは、「Returns」のラストに詞を書き加える。「ありがとう…/心が震えだす歌 Returns」と。 * 「Returns」については、それまでにも曲中で歌われている。「心震わす歌 Returns」、あるいは…

伝説のパパイヤ

『トロピカル~ジュ!プリキュア』#40「紡げ! みのりの新たな物語(すとーりー)」 「マーメイド物語」には、駄目なところがいっぱいある。キャラクターも物語もありがちで、自分自身の経験したことが入っていない――。 かつて自作に向けられた批判を、みの…

竜とそばかすのバーストリンカー

『竜とそばかすの姫』 仮想世界〈U〉で活動する自らの分身、〈As〉。少し悩んだ末、鈴はそれを「Bell(ベル)」と名付ける。鈴だからベル。素朴な名付けだ。 ベルがその歌声を披露して間もなく、〈U〉はベルの話題で持ちきりになる。その中で、誰からかこ…

人生の席

『呪術廻戦』#24「共犯」 釘崎が人生の席の話をする。 「[……]伏黒じゃないけどさあ、結局助けられる人間なんて限りがあんのよ。私の人生の席……ていうか……そこに座ってない人間に、私の心をどうこうされたくないのよねー。冷たい? ま、あんたみたいに、自…

それが、愛でしょう

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 戦争とこれほど近くありながら、手紙の中にはきれいな愛しかない。いさかいや、絶離を告げる手紙は、この世界には無いのだろうか。そういう仕事はヴァイオレットのいる部署・会社とは違うところで受け持っている? そ…

エボ鯛の開き

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』を観てシナリオえーだば創作術のミュウツー周りの記事を読み返してたら昨日という日が終わった。 上層部は、アニメを派手に見せるため、CGを使いたかったらしいが、日本のCGは、当時、発…

ごま塩ゲマ、髷ゲマ、マグマゲマ

『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』 私はウイルスだ、とウイルス自身が言っていることをそのまま真に受けてよいものか。 ウイルスと称するものが現れたのが突然なら、ワクチンだというものだって勝手に用意され渡されたにすぎない。それを渡されるままに…

「ああーコジマになりてぇー」

『薄暮』 「震災以後」の齎すべき、イマジネーションの決定的な変容。東日本大震災の直後は、それを競うような言説が賑わっていた。しかし、震災以前であれ以後であれ、変わらないものがあるはずだと、この映画は言っているように思える。 * 震災によって全…

かいじゅうこどもの海と空

『海獣の子供』 琉花が、自分の手を引く海の手の熱さを感じ、守ってあげなくちゃ、と強く思うこと。その直後、台風の中を傘も差さず海と二人歩いていく琉花を、漁港の人がみとめること。 傘を差さないのは、先ほどの決意がたちまちそういう形で現れたのだと…

先輩はえらい

『劇場版 響け♪ ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』 キャストの中に寿美菜子の名前を見つけたので少し元気が出て、観に行くことにしました。 * 部の今年の目標の決を採る場面では、あすか先輩の不在に泣きたくなりました。一方、とにかく上手くなりたい…

地獄に仏の他人

『えいがのおそ松さん』 童貞。クソニート。そう言って自らを貶めることにとっぷり馴染んだ六つ子たち。ギャグ漫画の世界とは、いわば閉じた世界だ。自らに飽いてよしとする世界だ。 そんな六つ子たちにも、そのあり方に思い悩んでいた時期があった。 * 高…

叶わぬ非望

『PSYCHO-PASS Sinners of the System』Case.3「恩讐の彼方に__」 敵討ちのため、戦う術を狡噛に付いて学ぶテンジンは、父の遺品の中から見つけていた日本語の本の読み方も同時に教わることになる。その本が『恩讐の彼方に』(菊池寛)だった。 短編ながら…

夜歩く

『ラブライブ!サンシャイン!!(TVアニメ2期)』#8「HAKODATE」 夜おそく、理亞の家を一人訪ねるルビィ。話があるからといってルビィは理亞を外へ連れ出す。 慣れないはずの函館の街を、先導して歩くルビィ。理亞は行き先が分からない。理亞には見えない…

魔法が使えない子は

『映画しまじろう まほうのしまのだいぼうけん』 ここ一番の大事なときに、しまじろうを応援するのにステッキの力を使わないのは、おなじ小道具を用いるにしても、プリキュア映画とは一線を画するところだ。ステッキを媒介して目に見える力に変換しなくとも…

「ユメノトビラ、ずっと探し続けていた……」

『ラブライブ!サンシャイン!!』#2「転校生をつかまえろ!」 高海千歌が桜内梨子に、今の「ユメノトビラ」だよね、梨子ちゃん歌ってたよねと畳み掛け、答えに窮する梨子を待たず、「ユメノトビラ、ずっと探し続けていた……」と「ユメノトビラ」の詞を言うと…

「あのね、物にはみーんな魂があるって知ってる?」

『かみさまみならい ヒミツのここたま』#138「ここたま界を救え!」 ここたまハウスの新しい飾り作りがうまくいかなくて、リビングのソファーにうつ伏せになるこころ。「どうして私ってばこんなに不器用なんだろう」 そんなこころにお母さんが声を掛ける。 …

ダダ100年、はいから100年

第1回ダダの夕べにおいて、「ダダは僕らの強烈さだ」と叫ばれたのが1916年(「ムッシュー・アンチピリンの宣言」)。「ダダは何も意味しない」という有名なフレーズを含む「ダダ宣言1918」はもちろん1918年。これらから数えて、およそ100年が経過したことに…

消えた年金

『無責任艦長タイラー』のアニメがなかったなら、あの頃とっくに死んでしまっていただろうというのは、およそ間違いないことだ。毎週月曜の30分間だけが生きている意味のすべてだった時代。 今その私が長らえて、辻谷耕史さんの訃報に曝されている。「いよっ…

峰子ちゃんはパン2○見え!

映画『若おかみは小学生!』 おっこだけにウリ坊たちが見えること。 おっこがたびたび、両親をまだ生きているもののように見ること。 死んだ人はどこへ行くのか。私たちの心のうちに、というのは一つの考え方だろうが、それとはまた別の事態を、この映画は示…

ノーブラはいつも稀有なものなのです!

『メジャーセカンド』#23「運命の一打」 弟にミットで胸を叩かれて「てか、そこどつくな!」と言う道塁。同じ声の人が別のアニメではノーブラおっぱいをもみもみしてくださいと言っていたことと考え合わせると、道塁はノーブラでないことが分かる。

「何もない」がない

『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』 宮内ひかげが、どこまでも上滑りして、面白くもないオチ担当みたいな役回りを続けてきたことが、しかし最後に生きる。 ちぐはぐなまま旅行が終わってしまう悲しさではなくて、やっぱり楽しかったんだと思う。

望み捨てるな リズ

『リズと青い鳥』2回目 2回目を観て、前の感想の訂正というか補足というか。 * 黄前久美子と高坂麗奈の掛け合いのシーンの前に、水道でマウスピースを洗っているところが瞬間映る。この画の挿入は、よっしゃ不甲斐ない先輩に一発聴かせてやろう、という意…

out of joint

『リズと青い鳥』 黄前久美子と高坂麗奈が、それぞれ自分の楽器で戯れに、フルートとオーボエのパートの掛け合いに打ち興じる、いつもの校舎陰。噛み合わない傘木希美と鎧塚みぞれを尻目にも見ないで、さすが自分たちにしか興味がない二人、それでこそ、と、…

おっこ若おかみなのよ

『若おかみは小学生!』#1「なんでわたしが若おかみ!?」 両親を事故で亡くしたおっこ(織子)は、街を離れ、温泉旅館を切り盛りする祖母のもと、母が少女時代を過ごした部屋で暮らすことになる。 その部屋が、空の机とカラーボックスがあるきり、母の名残…