movie

「背筋をのばして/あなたらしさ ピカイチに磨きなさい」

『わたしは光をにぎっている』 自分は光をにぎつてゐる いまもいまとてにぎつてゐる 而もをりをりは考へる 此の掌(てのひら)をあけてみたら からつぽではあるまいか からつぽであつたらどうしよう けれど自分はにぎつてゐる いよいよしつかり握るのだ あん…

過ぎたものたち、愛するべき人

『嵐電』 ときに思いと裏腹に、人と人とは疎遠になる。 * この映画に登場する三組の男女は、妖怪電車に出合い、いずれも突然の別れを迎える。 嵐電に現れる狐と狸の妖怪電車。それを目撃すると、大事な人と別れてしまう。そんな都市伝説があるという。しか…

エボ鯛の開き

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』を観てシナリオえーだば創作術のミュウツー周りの記事を読み返してたら昨日という日が終わった。 上層部は、アニメを派手に見せるため、CGを使いたかったらしいが、日本のCGは、当時、発…

ごま塩ゲマ、髷ゲマ、マグマゲマ

『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』 私はウイルスだ、とウイルス自身が言っていることをそのまま真に受けてよいものか。 ウイルスと称するものが現れたのが突然なら、ワクチンだというものだって勝手に用意され渡されたにすぎない。それを渡されるままに…

「ああーコジマになりてぇー」

『薄暮』 「震災以後」の齎すべき、イマジネーションの決定的な変容。東日本大震災の直後は、それを競うような言説が賑わっていた。しかし、震災以前であれ以後であれ、変わらないものがあるはずだと、この映画は言っているように思える。 * 震災によって全…

かいじゅうこどもの海と空

『海獣の子供』 琉花が、自分の手を引く海の手の熱さを感じ、守ってあげなくちゃ、と強く思うこと。その直後、台風の中を傘も差さず海と二人歩いていく琉花を、漁港の人がみとめること。 傘を差さないのは、先ほどの決意がたちまちそういう形で現れたのだと…

先輩はえらい

『劇場版 響け♪ ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』 キャストの中に寿美菜子の名前を見つけたので少し元気が出て、観に行くことにしました。 * 部の今年の目標の決を採る場面では、あすか先輩の不在に泣きたくなりました。一方、とにかく上手くなりたい…

地獄に仏の他人

『えいがのおそ松さん』 童貞。クソニート。そう言って自らを貶めることにとっぷり馴染んだ六つ子たち。ギャグ漫画の世界とは、いわば閉じた世界だ。自らに飽いてよしとする世界だ。 そんな六つ子たちにも、そのあり方に思い悩んでいた時期があった。 * 高…

叶わぬ非望

『PSYCHO-PASS Sinners of the System』Case.3「恩讐の彼方に__」 敵討ちのため、戦う術を狡噛に付いて学ぶテンジンは、父の遺品の中から見つけていた日本語の本の読み方も同時に教わることになる。その本が『恩讐の彼方に』(菊池寛)だった。 短編ながら…

モンストル・シャルマン

『メアリーの総て』 パーシーはメアリーのお腹の子を女の子だと決め込んでいたが(そして実際そうだったが)、『フランケンシュタイン』執筆中のメアリーは、自分が生み出しつつあるものが何であるのか、はっきりとは分かっていなかっただろう。生み出すこと…

魔法が使えない子は

『映画しまじろう まほうのしまのだいぼうけん』 ここ一番の大事なときに、しまじろうを応援するのにステッキの力を使わないのは、おなじ小道具を用いるにしても、プリキュア映画とは一線を画するところだ。ステッキを媒介して目に見える力に変換しなくとも…

都築杢之進の消失

『斬、』 人を斬ることが出来ない、女を抱くことが出来ない、江戸への出立の日に熱を出して倒れる。どこまでも手前に留まる、留まってしまう者としての杢之進。 であればこそ、市助たちの敵討ちに立ち上がろうとしないことを罵るゆうの声は、杢之進の鼓膜を…

ダダ100年、はいから100年

第1回ダダの夕べにおいて、「ダダは僕らの強烈さだ」と叫ばれたのが1916年(「ムッシュー・アンチピリンの宣言」)。「ダダは何も意味しない」という有名なフレーズを含む「ダダ宣言1918」はもちろん1918年。これらから数えて、およそ100年が経過したことに…

峰子ちゃんはパン2○見え!

映画『若おかみは小学生!』 おっこだけにウリ坊たちが見えること。 おっこがたびたび、両親をまだ生きているもののように見ること。 死んだ人はどこへ行くのか。私たちの心のうちに、というのは一つの考え方だろうが、それとはまた別の事態を、この映画は示…

「何もない」がない

『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』 宮内ひかげが、どこまでも上滑りして、面白くもないオチ担当みたいな役回りを続けてきたことが、しかし最後に生きる。 ちぐはぐなまま旅行が終わってしまう悲しさではなくて、やっぱり楽しかったんだと思う。

マジック・キャッスル

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』 まず何より、三階建てで横にやたら長いモーテルの建物の存在感。子供の足で端から端まで走るところを長回しで追うことで、余計にその長さは強調される。 この建物に架かる虹の映えること。 * モーテルの支配人のボビ…

望み捨てるな リズ

『リズと青い鳥』2回目 2回目を観て、前の感想の訂正というか補足というか。 * 黄前久美子と高坂麗奈の掛け合いのシーンの前に、水道でマウスピースを洗っているところが瞬間映る。この画の挿入は、よっしゃ不甲斐ない先輩に一発聴かせてやろう、という意…

out of joint

『リズと青い鳥』 黄前久美子と高坂麗奈が、それぞれ自分の楽器で戯れに、フルートとオーボエのパートの掛け合いに打ち興じる、いつもの校舎陰。噛み合わない傘木希美と鎧塚みぞれを尻目にも見ないで、さすが自分たちにしか興味がない二人、それでこそ、と、…

194組の3732555

『魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢の中の輪舞』 以下は、2011年春に観たときの感想です。例によって、まとまりきらないで下書きのまま放置していたものを、諦めて公開するものです。 * 大人になりたい心をその魔法の源とするモモに対して、子供のままでい…

さくらニュータウンではトキドキクジラが空をとぶ

『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』 アニメ世界と実写世界(毛穴世界)との間を行き来させようという発想の面白さを、損なうことなく一作に纏め上げられていると感じた。『妖怪ウォッチ』の映画として満点の出来と言ってよい…

ミクロの一勇士

『グッバイ、サマー』 旅の終わり、後ろ向きに飛ぶ旅客機について。 あのような不思議さを通過しなければ戻れないような旅だった。ともかくはそう思える。 パリへ帰ることは、今や後退することでしかないのだ、このイメージは成長の結果なのだ、とは考えたく…

「う うえは?」

『この世界の片隅に』 11月12日、『この世界の片隅に』を観ました。当地での初日初回は11時10分から、全100席のスクリーンでの上映で、ちょうど半分の50人ほどの客入りでした。 * 「左手で描いた世界のよう」な歪みを表すために、原作者のこうの先生は、実…

「シンゴー、シンゴー」

『シン・ゴジラ』 巨費を投じて作られた渾身の脱力ギャグ映画、という印象。ヤシオリ作戦の間中、あんぐり開いた口が塞がらなかった。そういう方向に面白かった。 最終作戦に当たり、作戦名が長いという矢口に、役所のすることですからと答える統合幕僚長。…

Mein Vater, mein Vater, und hörest du nicht

『父を探して』 父を探す少年を、未来の彼も、そのまた未来の彼もが後押しした、とも言えるだろうし、未来に亙って父を想う心を持った彼は、その時いつも少年だった、と言ってもよいだろう。ともあれ、全時代が渾然として響きあっている。

きれいは穢ない、みれぃは語尾。

『マクベス』(2015) 「マクベスは眠りを殺した」という台詞が映画にあったかどうか、昨日観てもう思い出せない。 かねて承知の、起こるべき事どもが繰り広げられるところを、その現場を、無言で見届ける魔女たちのイメージは格好良かった。一方で、ラスト…

生命はなぜ大切か

『仮面ライダー1号』 今この時の、本郷猛自身の口から、俺は死なん、俺は不死身だ、と聞くことできれば、もうこの先、何があっても、何があっても信じて行かれる、そう思えた。 どこにいても、誰を助けても、それは麻由を助けることだったんだ、と本郷猛は…

「お名前って、生まれたときに決まってるんじゃないの?」

『劇場版 selector destructed WIXOSS』 蒼井晶を心の中で応援上映会のつもりで観に行ったら、映画自体は、せれくぎゅー ですとらくぎゅっと うぃくぎゅす、といった様相であった。 * 名乗りあう前の知らない二人が、どういう経緯でか出会い、おいしいアイ…

「私は、自分を幸せにしたいから」

『Wake Up, Girls! 七人のアイドル』 一年半前の下書きが目に留まったので上げておきます。 * 誰かを幸せにするということ、それには、三つのタイプがあると思う。世の中の多くの人を幸せにできる人。自分の周りの、身近な人を幸せにできる人。それと、自分…

祈りの行方

『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』 何が神であるか。 radio guys(ラジオのDJ)に自分の歌を聴いて欲しくて、イヴはデモテープを作る。そのレーベルには "God Help the Girl" の文字が記されている。だから、まずは彼らが、イヴに救いをもたらす神であることが…

私はディオゲネッタ、私は犬

『チョコリエッタ』 原発事故などを絡めた分だけ、作品を卑小化してしまっているように思えた。というのも、思春期の懊悩煩悶は、社会的な出来事を、それがどんなに大きかろうと、はるかに飛び越えてあるものだから。 たかだか十年前の幼少期のことを、まだ…