うせもの、おそく出づべし

涼宮ハルヒの消失

 あれだけくぎゅしんくぎゅしん言っておきながら、見てきたのがくぎゅ宮でも何でもないハルヒが消失する映画だという。
 鏡やらガラスやら床面やら、やたらと映り込みの描写が多いので、カットが変わる度に「このカットにも映り込みがあるんじゃないか」ってことがまず気になってしまって、演出上の意図があってのことなのは分かるが、というか意図があるのだと解することはできるが、それにしても多すぎた。
 元の世界に戻るかどうかの選択を迫られたときに、何にせよ元々属していた世界なのだし戻らなければというような感覚は全くなくて、「ハルヒとの日々が面白かった→戻る」「面白くなかった→残る」の二択に完全に割り切れてそうして俺は元の世界を望むんだ、となるのがキョンというキャラクターの肝なんだと思う。ひいては『ハルヒ』という作品の。選択を迫られて望んだってよりは、世界が変わってしまったそもそものはじめから意識的ではないにせよそれを望んで行動していたということなんだろうけれど。
 163分は、見終わってみれば良い長さだったと思う。