「う うえは?」

この世界の片隅に

 11月12日、『この世界の片隅に』を観ました。当地での初日初回は11時10分から、全100席のスクリーンでの上映で、ちょうど半分の50人ほどの客入りでした。
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「左手で描いた世界のよう」な歪みを表すために、原作者のこうの先生は、実際に左手を使って描くことにしたのだが、そのための練習をしているうちに左手で描くのがだんだん上手くなってしまい、それはそれで困るのでほどほどのところで練習をやめた、というエピソードが、呉市立美術館の「この世界の片隅に」展で紹介されていました。
 片渕監督はたびたび、「91歳のすずさんが今も生きているような気がしている」と言っています。
 これらふたつの話は、私に次のことを予感させます。すなわち、この作品は21年1月で終わるけど、この先すずさんが、これまでのように誰かから筆記具を授かるときがまたいつかあって、気が向いて絵を描いてみる、そうしてみれば、そのうち、じきに、様になるだろうことを。そして、そういうときが、いつかの過去にあっただろうことを。
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 映画の感想でも原作の感想でもない、周辺にまつわる感想です。