強がりではない強さ

カードファイト!! ヴァンガードG NEXT』#7-8

ミゲル「広いねー、世界は」
トコハ「そうだね」
ミゲル「この広い世界に僕たちは飛び出した。輝く未来を求めて」
(#7「開花する私の未来」)

 毎日が楽しい、広い世界に出たいという夢が叶って充実してる、留学先の学校の友達にはそう嘯いていたトコハだったが、その先の、目指すべき未来を思い定めることが出来なくて不安に思う気持ちを、ふっとミゲルに打ち明ける。
 不器用でも、どんな不運にもめげないミゲルの憎めなさ、頼もしさ。同じネオネクタール使いだという共通点もあり、友達になったばかりのミゲルの前で、トコハは素直だ。
 ミゲルは言う。「トコハは自分の可能性を信じて、広い世界へ飛び出したんだ。トコハは強い。トコハなら大丈夫。僕はトコハを応援する」
 *
 ところが。そう励ましてくれたミゲルが死んだ。
 たった二日間でも深く心を通わせ合った友達が死んだ。「トコハは強い」と何度も請け合ってくれたミゲルが死んだ。
 悲しみと失意で先の見えなくなったトコハは一人、パリの街をさまよい歩く。いつしかエッフェル塔のそばに座り込んでいたトコハに、ボランティアガイドの男性が話し掛ける。パリ市民に受け継がれるエッフェルの思いについて。
 死んでも思いは受け継がれる。
 能動的には、思いは、受け継ぐことができる。
 そう気付いた時、トコハは走り出す。今の自分が戦えるのか、また前へ歩き出せるのか、それを確かめるために、トコハはハイメにファイトを挑む。
 *
「ちょっと思い出さない? この景色、浅草の……」ファイトを終えて、パリの夕暮れ、セーヌ河岸を歩きながら、ハイメはトコハに言う。トコハの目に、懐かしい景色がダブる。「隅田川ね」「そう!」
 たったこれだけのやりとりが嬉しい。迷いの晴れたトコハに世界は優しい姿を見せる。強がりではない強さを、トコハは取り戻す。
 *
 戦い続ける限り、進み続ける限り、ミゲルはトコハと共にあるだろう。それが、ミゲルの言葉を本当にすることだ。
「僕がトコハのこと、ずっと見守るよ」