零下堂キアン

『平成細雪

 平成蒔岡四姉妹の没落、ある一時代の終焉を、完膚無きまでに決定づける象徴としての阪神淡路大震災。しかしそれが起こるのは、なお一ヶ月先のことで。ドラマはあくまで、次なる時代を待たせたままに、栄華の残香のうちに終わる。
 思ってみれば、本家の調度品、骨董書画から果ては邸宅までを、売却しおおせたというのは、ある意味では強運であったとも言える。再出発のための荷物は軽いほどよい。
 ナレーションは言う。「長い、長い、失われた時代の、始まりです。」
 それでも四姉妹の行く手を暗いものとしないのは、彼女達の逞しさと、それに加えて、震災後の神戸の復興の力強さを我々が知るためでもあろう。
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 なかあんちゃん(高岡早紀)が平静を装い面は取り繕ったままで「えーー! ○○やん」とモノローグツッコミを入れるのが楽しかった。