いつか涸れることない涙

「cry」

 かつてASKA黒田有紀に提供した「cry」。それをセルフカヴァーしたものを自選のベストアルバムに収録した。のみならず、娘である宮崎薫にも歌うようリクエストし、カヴァーが実現することになったという。

 Cry|BLOG|ASKA Official Web Site 「Fellows」

 それほどに大事な楽曲だということなのだろう。私にとっては、『ストリートファイターII V』のエンディング曲として知り、カラオケで歌うと必ず泣いてしまう、そんな歌だ。

この日この時の気持ち 誰とも分け合わないで

どんなだったか覚えておこう oh cry oh cry oh cry

(「cry」)

 本気で愛することがすべてで、それが取り返しようもなく終わったとき、他者などがいったい何だというのか。痛み、叫び、泣いて、それでも生きているということの辛さを、それでも生きているということ。それが全部であるような、それが全部であってしまうような、本気の恋愛。

  内容としては二十そこそこの若い女性の失恋を歌った歌であり、その失恋の内実は固有のものではあろうけど、このような悔しい叫びを、ただ自分だけのものとして抱いていようという心は、普遍性を持ちうる。そう思える。