小説そのものへ

佐藤友哉「1000の小説とバックベアード」(『新潮』2006年12月号掲載)

 掲載を知って慌てて買って読んだ。小説の限界を漸近線としてそこへ向けてひたすら落ち込んでいっている、というのが佐藤友哉に対する印象だったのだけれど、そろそろ小説と氏とがぴったり一つのものになってしまうんじゃなかろうか。
 そろそろ大きい賞を獲って流行作家になって、受賞作の次に鏡家サーガを読んだ素人が嫌な顔をしたり読まなかったことにしたりするという現象が日本中で巻き起こるんじゃなかろうか。