2019-01-01から1年間の記事一覧
『嵐電』 ときに思いと裏腹に、人と人とは疎遠になる。 * この映画に登場する三組の男女は、妖怪電車に出合い、いずれも突然の別れを迎える。 嵐電に現れる狐と狸の妖怪電車。それを目撃すると、大事な人と別れてしまう。そんな都市伝説があるという。しか…
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 戦争とこれほど近くありながら、手紙の中にはきれいな愛しかない。いさかいや、絶離を告げる手紙は、この世界には無いのだろうか。そういう仕事はヴァイオレットのいる部署・会社とは違うところで受け持っている? そ…
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』を観てシナリオえーだば創作術のミュウツー周りの記事を読み返してたら昨日という日が終わった。 上層部は、アニメを派手に見せるため、CGを使いたかったらしいが、日本のCGは、当時、発…
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』 私はウイルスだ、とウイルス自身が言っていることをそのまま真に受けてよいものか。 ウイルスと称するものが現れたのが突然なら、ワクチンだというものだって勝手に用意され渡されたにすぎない。それを渡されるままに…
岡本太郎『迷宮の人生』(アートン) 昨年の終わり頃からダダ・シュルレアリスム関連の本をいくつか読んできた流れで、最近は岡本太郎についてぼつぼつ読んでいる。 私は生きている瞬間瞬間、迷宮のなかをくぐり抜けている思いだ。 目の前が突然明るくひろが…
『薄暮』 「震災以後」の齎すべき、イマジネーションの決定的な変容。東日本大震災の直後は、それを競うような言説が賑わっていた。しかし、震災以前であれ以後であれ、変わらないものがあるはずだと、この映画は言っているように思える。 * 震災によって全…
『海獣の子供』 琉花が、自分の手を引く海の手の熱さを感じ、守ってあげなくちゃ、と強く思うこと。その直後、台風の中を傘も差さず海と二人歩いていく琉花を、漁港の人がみとめること。 傘を差さないのは、先ほどの決意がたちまちそういう形で現れたのだと…
『劇場版 響け♪ ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』 キャストの中に寿美菜子の名前を見つけたので少し元気が出て、観に行くことにしました。 * 部の今年の目標の決を採る場面では、あすか先輩の不在に泣きたくなりました。一方、とにかく上手くなりたい…
新元号かっこいい、SFみたい、などの受け止めの数々に気が塞ぐ。 いくら意味を取り繕ったところで、命令じゃないか、和せしむじゃないか、という指摘は、尤もなことだと半分は思う。 より本質的には、政治のあるべき姿から自然の有様へと、言葉の表す対象を…
『えいがのおそ松さん』 童貞。クソニート。そう言って自らを貶めることにとっぷり馴染んだ六つ子たち。ギャグ漫画の世界とは、いわば閉じた世界だ。自らに飽いてよしとする世界だ。 そんな六つ子たちにも、そのあり方に思い悩んでいた時期があった。 * 高…
『PSYCHO-PASS Sinners of the System』Case.3「恩讐の彼方に__」 敵討ちのため、戦う術を狡噛に付いて学ぶテンジンは、父の遺品の中から見つけていた日本語の本の読み方も同時に教わることになる。その本が『恩讐の彼方に』(菊池寛)だった。 短編ながら…
『メアリーの総て』 パーシーはメアリーのお腹の子を女の子だと決め込んでいたが(そして実際そうだったが)、『フランケンシュタイン』執筆中のメアリーは、自分が生み出しつつあるものが何であるのか、はっきりとは分かっていなかっただろう。生み出すこと…
『ラブライブ!サンシャイン!!(TVアニメ2期)』#8「HAKODATE」 夜おそく、理亞の家を一人訪ねるルビィ。話があるからといってルビィは理亞を外へ連れ出す。 慣れないはずの函館の街を、先導して歩くルビィ。理亞は行き先が分からない。理亞には見えない…
『映画しまじろう まほうのしまのだいぼうけん』 ここ一番の大事なときに、しまじろうを応援するのにステッキの力を使わないのは、おなじ小道具を用いるにしても、プリキュア映画とは一線を画するところだ。ステッキを媒介して目に見える力に変換しなくとも…
『ラブライブ!サンシャイン!!』#2「転校生をつかまえろ!」 高海千歌が桜内梨子に、今の「ユメノトビラ」だよね、梨子ちゃん歌ってたよねと畳み掛け、答えに窮する梨子を待たず、「ユメノトビラ、ずっと探し続けていた……」と「ユメノトビラ」の詞を言うと…
ASKA「月が近づけば少しはましだろう」 ASKAの話をもう少し。 www.youtube.com 僕の中を 通り過ぎ行く人 ほんの一瞬の人 (ASKA「月が近づけば少しはましだろう」) はじめ私はこの「人」、僕の中を通り過ぎ行くほんの一瞬の人とは、1番に出てくるような言…
「cry」 かつてASKAが黒田有紀に提供した「cry」。それをセルフカヴァーしたものを自選のベストアルバムに収録した。のみならず、娘である宮崎薫にも歌うようリクエストし、カヴァーが実現することになったという。 Cry|BLOG|ASKA Official Web Site 「Fel…