2018-01-01から1年間の記事一覧

都築杢之進の消失

『斬、』 人を斬ることが出来ない、女を抱くことが出来ない、江戸への出立の日に熱を出して倒れる。どこまでも手前に留まる、留まってしまう者としての杢之進。 であればこそ、市助たちの敵討ちに立ち上がろうとしないことを罵るゆうの声は、杢之進の鼓膜を…

「あのね、物にはみーんな魂があるって知ってる?」

『かみさまみならい ヒミツのここたま』#138「ここたま界を救え!」 ここたまハウスの新しい飾り作りがうまくいかなくて、リビングのソファーにうつ伏せになるこころ。「どうして私ってばこんなに不器用なんだろう」 そんなこころにお母さんが声を掛ける。 …

ダダ100年、はいから100年

第1回ダダの夕べにおいて、「ダダは僕らの強烈さだ」と叫ばれたのが1916年(「ムッシュー・アンチピリンの宣言」)。「ダダは何も意味しない」という有名なフレーズを含む「ダダ宣言1918」はもちろん1918年。これらから数えて、およそ100年が経過したことに…

消えた年金

『無責任艦長タイラー』のアニメがなかったなら、あの頃とっくに死んでしまっていただろうというのは、およそ間違いないことだ。毎週月曜の30分間だけが生きている意味のすべてだった時代。 今その私が長らえて、辻谷耕史さんの訃報に曝されている。「いよっ…

峰子ちゃんはパン2○見え!

映画『若おかみは小学生!』 おっこだけにウリ坊たちが見えること。 おっこがたびたび、両親をまだ生きているもののように見ること。 死んだ人はどこへ行くのか。私たちの心のうちに、というのは一つの考え方だろうが、それとはまた別の事態を、この映画は示…

ノーブラはいつも稀有なものなのです!

『メジャーセカンド』#23「運命の一打」 弟にミットで胸を叩かれて「てか、そこどつくな!」と言う道塁。同じ声の人が別のアニメではノーブラおっぱいをもみもみしてくださいと言っていたことと考え合わせると、道塁はノーブラでないことが分かる。

「何もない」がない

『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』 宮内ひかげが、どこまでも上滑りして、面白くもないオチ担当みたいな役回りを続けてきたことが、しかし最後に生きる。 ちぐはぐなまま旅行が終わってしまう悲しさではなくて、やっぱり楽しかったんだと思う。

マジック・キャッスル

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』 まず何より、三階建てで横にやたら長いモーテルの建物の存在感。子供の足で端から端まで走るところを長回しで追うことで、余計にその長さは強調される。 この建物に架かる虹の映えること。 * モーテルの支配人のボビ…

望み捨てるな リズ

『リズと青い鳥』2回目 2回目を観て、前の感想の訂正というか補足というか。 * 黄前久美子と高坂麗奈の掛け合いのシーンの前に、水道でマウスピースを洗っているところが瞬間映る。この画の挿入は、よっしゃ不甲斐ない先輩に一発聴かせてやろう、という意…

out of joint

『リズと青い鳥』 黄前久美子と高坂麗奈が、それぞれ自分の楽器で戯れに、フルートとオーボエのパートの掛け合いに打ち興じる、いつもの校舎陰。噛み合わない傘木希美と鎧塚みぞれを尻目にも見ないで、さすが自分たちにしか興味がない二人、それでこそ、と、…

おっこ若おかみなのよ

『若おかみは小学生!』#1「なんでわたしが若おかみ!?」 両親を事故で亡くしたおっこ(織子)は、街を離れ、温泉旅館を切り盛りする祖母のもと、母が少女時代を過ごした部屋で暮らすことになる。 その部屋が、空の机とカラーボックスがあるきり、母の名残…

兜率の天の酒

web

天上のI.W.ハーパー ハーパーを生まれて初めて飲んだ 強いお酒だ笑 あれをバカスカ飲むなんて気がしれない笑 (追悼ライブを終えた気持ち|有坂愛海公式BLOG『ありのまま有坂様』) 言うことはない。胸に迫る。私の胸に迫るかなんてどうだっていいことだけど…

零下堂キアン

『平成細雪』 平成蒔岡四姉妹の没落、ある一時代の終焉を、完膚無きまでに決定づける象徴としての阪神淡路大震災。しかしそれが起こるのは、なお一ヶ月先のことで。ドラマはあくまで、次なる時代を待たせたままに、栄華の残香のうちに終わる。 思ってみれば…