2013-01-01から1年間の記事一覧

「姉ちゃん、なんだか母さんみたいだな……」

『団地ともお』#34a「お星さまにお願いともお」 冬の星座観察話であり、姉弟話でもあり。 冒頭、姉ちゃんの卓袱台の拭き方が手馴れている。ざっと拭いた後、布巾をくるっと裏返して二度拭きするという。 ともおが星座観察に行ったことを姉ちゃんが知る前か…

なよ竹のかぐやのお兄ちゃんの手下姫

『かぐや姫の物語』 翁が手のひらに囲っているうちはお人形さんのようだったものが、嫗に触れられることで現実的な赤子の形を取る冒頭シーンは、この映画の性格を予め我々に伝えています。男の目線と女の目線。姫が育ちゆくにつけても、翁ばかりがはしゃいじ…

メ~ラめら

『ファイ・ブレイン 神のパズル(第3シリーズ)』#8「永遠にさようなら」 "DEAR OBSTINATE PUZZLE-FRIEND WE WILL MEAT AGAIN!" て。英国貴族の家系のメランコリィが綴りを間違えたはずないし、ましてやパズルの答えを間違えたはずないから、フリーセルは…

「うちはうちわを扇ぎまんねん!」

『のんのんびより』#6「おばけになってがんばった」 「うちはとびうおさーん」と言いだした時に止めないでおいて、れんげが真剣にひとしきりとびうお役をこなしたところへ「もう普通にやろうよ」と諌めるこの人は、本当にひどい。 思うに、東京からの転校…

「ボクたち役に、立つもんか!」

『映画ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス』 全体的にそつなく。 「オムライス!」「えっ」「えっ」から六花とありすがすれ違うまでの一連が良かった。 反乱を起こすゴミが「俺はまだ使えるぞー!」と訴えるのは、人間の価値観に毒さ…

ノートリップ

『華麗なる相続人』 最後までわくわくするところのない映画でした。 全員に動機めいたものがあって、誰も信じられないのなら、このうえはもう誰が犯人だろうとどうでもいいことじゃん、と思ってしまいます。最終的に犯人ではないことが判った夫と、だからよ…

Exterior. Eiffel Tower. Night.

『パリで一緒に』 たいへんお茶目で楽しい映画でした。 "Serendipity? Are you making it up?"(セレンディピティ? それあなたがこしらえた言葉?)と、言葉の理解が及ばない為に話題が途切れたと見せて、それが次の話の流れを生み、二人のより深い理解の契…

ちゃふらふすか~

『のんのんびより』#2まで どこでもない架空の田舎であろうとするためには、標準語であらざるをえないのだろうが、その結果として東京との対比が際立たないことになる。それに第一、東京と対比した田舎一般、というだけではあまりに掴みどころがない。引っ…

「なぜか慕わしく思えた」

『有頂天家族』#5-6 狸に対する思いの矛盾を、すなわち愛を、熱っぽく語る淀川教授。このような思いに憑かれながら齢を重ねた人は、たしかにこのような声で、このようにも話すであろうと、そう思えてしまえるような、何とも言われない良い演技だなあと惚…

小さきもの

『ローゼンメイデン』(2013年版) 『ローゼンメイデン』の2013年版、いわゆる新アニメ版について語るなら、色彩の良さというものにまず触れなければならないよう思う。 深く鮮やかで、確かな明度を持ったドール達の色彩は、作中のほとんどを占める暗い背景…

病みの炎に抱かれて

『中二病でも恋がしたい!』 ついでなのでTVシリーズについて。 森夏「(……)ほら、富樫くんも私も中二病を卒業して、高校時代は普通の高校生やるぞーって思ってたわけじゃない?」 富樫「まぁな」 森夏「でも、それだってきっとそういう普通の高校生みたい…

好きになったら最強!

『小鳥遊六花・改 劇場版 中二病でも恋がしたい!』 第2期放送前に第0話SPとして30分枠で放送すれば済んだ話だと思う。 総集編のパートをどうしてこんな編集にしたのか、そのセンスは甚だ理解しがたいところではある。TVシリーズを再編集しておきながら、…

「今日は飛べなかっただけだろう」

『鷹の爪GO 美しきエリエール消臭プラス』 本編も楽しい趣向でいっぱいでしたが、入場アナウンスをする劇場係員が目を疑いながらタイトルを読み上げるところからしてすでに楽しく、命名の勝利を感じました。 『劇場版 空の境界 「俯瞰風景」3D』 俯瞰による…

「何だか美しい朝のようね」

『八月の鯨』(ニュープリント版) すべては消え去ってしまう、遅かれ早かれ。 頑迷にそう主張するリビーは、しかしこのことでマラノフと口論になったとき、思わず強く言い返す。自分の記憶、自分の思い出だけは特別で、どこへも消えたりはしない、と。 夫を…

無化のさきにあるもの

小林ゆうについての覚書 散乱メモの整理第2弾。 * これはもう、4年前の話。『アニメギガ』にゲストで登場した小林ゆうは、番組の締めに司会者から、あなたにとって「演じる」とは? と問われたとき、しばらくの間をおいたあと、唐突に奇声を発する。猿を…

「遊ぼうよ」

『マイマイ新子と千年の魔法』覚書 連続しないものを、意味のある連続に見せるのがモンタージュであることを意識するならば、連続して見えるものにも、本来的には連続性は存在しないのだということも分かってくる。この両面のはたらきが、モンタージュにはあ…

ふわふわ旅行

大阪、奈良、大阪 5月4日は、なんばで『劇場版STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』を観て、唐招提寺と薬師寺に参り、グランキューブ大阪の「高垣彩陽 2ndコンサートツアー2013 〜relation of colors〜」に参加しました。どう見たって詰め込みすぎの行程で、…

なーんつってっつっちゃったりなんかしたりして

『ゆゆ式』#2「情報処理部」 話数は遡りますが、ゆずこの口からふと転がり出た「なんつってっつっちゃった」というフレーズの面白さに、三人ともが変なテンションで盛り上がってしまう第2話アバンも素晴らしいと思いました。 ゆずこがボケて、縁が悪ノリ…

「日本たのしぃ」

『ゆゆ式』#3「夏休みじゃーい!」 唯「あ、それ面白かった。ダイバーが出てくるやつ」 ゆずこ、耳をふさぐ。 縁「っふはははははははは、あはは」 (#3「夏休みじゃーい!」) 普段はゆずことふたりでアホなことやって、唯の反応を引き出してはおもしろ…

「欲しいものは絶え間なく与えよう」

Another Infinity feat.Mayumi Morinaga「glitter(Starving Trancer Remix)」 『FAIRY TAIL』のアニメが終わりましたね。佐藤聡美が出ている限りは見続けようと、安易に心に決めたものだから、とうとう最後までつきあうことになってしまいました。見も見たり…

「ああ、兄くんか……………」

2012年6月に観た映画(3本) 6/2『ニーチェの馬』 画面の暗さに比して字幕が眩しすぎたように思う。もとより少ない台詞のこと、大体のやりとりは覚えたから、字幕なしでも見てみたいところだけど、劇場のスクリーンと音響で見てこその映画だし、日本で上映…

もしもシャクティが強かったら

『進撃の巨人』#1「二千年後の君へ」 こういうことが起こっている、という以上のものとして見ることができない。いずれも他人事であり、少なくともこの人間たちの側に立って見る義理も筋合いもないよう思う。渦中から始めるのはひとつの常套の手法ではある…

「フルメットでRide high スゴイ!」

悠木碧『メリバ』 先日某所で行われた『メリバ』発売記念イベントに参加してきました。 私は自分のことを、根本的なところでオタクとは遠いみいちゃんはあちゃんな人間だととらえているので、「私ってばなにしろオタクじゃない? だから……」みたいな言葉を悠…

おしゃもじをマイクに 台本はお茶碗を持つ方の手に

『バクマン。3』#23「マイクと台本」 公開オーディションに臨み実力でヒロイン役を掴んでみせると誓って、実際それを手中に収めた亜豆さん。だけれど、公開オーディション参加者の事前選考があったようなことを平野文が漏らしていたし、そこで篩にかけて、…

恋のいろは

『となりの怪物くん』#4まで 「怪物くん」って、雫にとって得体が知れず心や言動の予測がつかないという意味でもあろうし、したがってまた当然に百面相だということでもあろうし、なのだろうな。 いっぽう春は春で、自分の怪物を感じずにはいられないよう…

枯れない桜と百年の魔法

『D.C.III』#1「サクラサク」 『II』、『II S.S.』と見ていないのでなおのこと隔世の感があります。 今は咲くことをやめてしまった枯れない桜が、ふたたび咲くことで、かつて桜の咲き誇っていたころに、さらには100年前へと接近していく、接続していく、そ…

星とピエロ

『たまこまーけっと』#5まで 友達になる前は気づかなかったけれど、四人がひとつの画面に映ると、朝霧さんほかの三人より背が低いんだなということに、ほへーと感じ入ってしまいます。銭湯シーンではせんとーこーへーと感じ入ります。 鳥の声とりっぴいか…

a childish story

『鍵姫物語 永久アリス輪舞曲』#10〜13(終) #10。自分の生まれなじんだ街を有人を案内してまわるひらがなのありす。周りの証言によってそれが偽り、作りごとであることを有人は知ることになる。のだが。それがどうしたというのか。真実がなにほどのもの…

物語からこぼれ落ちて

『鍵姫物語 永久アリス輪舞曲』#9「Turtle's Story」 有人「そんなことない。逃避じゃない。それは、救いの物語だよ」 キリカ「救いの……物語」 有人「だって、その物語でキリカ先輩は救われてきたんだよ?! 自分が、壊れないように」 (#9「Turtle's Stor…

思われている

『鍵姫物語 永久アリス輪舞曲』#4「Little Bill」 アカネが有人のことをアンデルセンと思いなすのは、物語を記す力を持つ者はみなどこかしら似た雰囲気があるということなのかな。心の物語の持ち主がその心の目だけでもって見たときに、両者は区別するべき…