a childish story

鍵姫物語 永久アリス輪舞曲』#10〜13(終)

 #10。自分の生まれなじんだ街を有人を案内してまわるひらがなのありす。周りの証言によってそれが偽り、作りごとであることを有人は知ることになる。のだが。それがどうしたというのか。真実がなにほどのものか。ただ、有人に認められたい。有人の傍に居場所を得たい。強さ弱さを越えた地平で、あるいは、そのどこまでも手前で、ひらがなのありすは行為しつづける。已むに已まれないのだ。
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 主人公は、物語の中にあっては主体のようにふるまう。しかし、物語そのものが俎上にのぼったとき、それは物語をrepresentするだけの客体にすぎない。器にすぎない。
 第10話のラストで、アリスマスターによってひらがなのありすは封じ込められてしまう。そうして第12話の途中まで、この状態は続く。封じ込められたままのひらがなのありすを蔑ろにして展開していくこの時間の長さは、主人公というものの特性を、えげつなくも如実に表して、われわれに突きつけるようだ。
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 #13。最終話に至って、「A Golden Afternoon」のサブタイトルのもとに、たあいない、毒にも薬にも満たない、たわむれのおはなしが付け足されてある、その好ましさ。
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 物語は終わるのか?