2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「夢が紡ぐお話が好き」

『風立ちぬ』 近眼であるということは、その眼が焦点を結べるより先は、もう夢の滑り込む余地だということだ。 少年堀越の近眼が見た夢の場所。彼はそれを心の裡に失わず持ち続け、自分の場所をそれと一緒にすることに全存在を賭ける。 やがて、躓き。避暑地…

「歩を始めてどれくらいになる?」「千年」

古橋秀之『冬の巨人』(富士見L文庫) 新しく生まれた巨人の軽快さ、漲るばかりの快活さは、半ば滑稽なようであり、またそれがために神性を感じさせもする。神話の側の出来事を、神話に類するものを、読んだのだという印象を齎す。ミール(巨人/世界)にお…