なよ竹のかぐやのお兄ちゃんの手下姫

かぐや姫の物語

 翁が手のひらに囲っているうちはお人形さんのようだったものが、嫗に触れられることで現実的な赤子の形を取る冒頭シーンは、この映画の性格を予め我々に伝えています。男の目線と女の目線。姫が育ちゆくにつけても、翁ばかりがはしゃいじゃって、嫗はいつでも地に足がついて姫の味方で。原作での姫の徹底的な孤独を、そのようなレベルの対立関係にずらされてしまうと、どうにも首をひねってしまいます。
 公達や帝はノーでも、かねて幼少より心安い近所のお兄ちゃんならイエス、というのも同様です。
 総じて、地上に心を通わせられる人がいてしまえば、自ずから原作とは趣が違ってきますわよね、と言いますか。