「たしかにここは修羅のなぎさ」

太宰、賢治と夢の跡

 9/21は宮沢賢治の命日で、賢治祭があるしイギリス海岸を浮上させる試みがあるし、ということで東北に行ってきました。9/20に青森入りして斜陽館を訪ね、9/21は花巻巡り、9/22に中尊寺のち帰宅というプラン。いまさらひと月前の旅行の話なんです。
 9/20。斜陽館の前に立ち寄った新座敷で聞いた話が、いろいろと想起させられて為になった。普通の人は斜陽館だけ見て「立派だなあ」と感じ入って帰るところが、その周辺の結構な広さの土地が津島家のものだったのであれば、本当はそんなもんじゃない、もっととんでもなく凄かったんだということを知らなければなりません、とか、斜陽館の前の道で小作たちに綱引きをさせた話だとか、ここで「たいしたもんでねえでば」って太宰は言ったんです、とか、疎開中の太宰を訪ねて酒をご馳走になった当時青年の老人が、新座敷を見にきて思い出話をしてくれたとか。
 その後、斜陽館、雲祥寺、金木小学校、芦野公園と回ったけどその辺は省略。
 9/21。花巻に着くと、まず銀河高原ビールを買って飲み飲みイギリス海岸へ。昔の写真にあるほどには河底は浮かび上がっていなかったけれど、果敢に河の中ほどまで歩いていった人のおかげもあって当時の片鱗は窺うことができた。
 1時間ほどmud-stoneとたわむれてから、農業高校の敷地にある賢治の家へ。賢治先生は下の畑に行ってた。
 でもっていよいよ賢治祭。歌あり朗読あり、高校生の演じる猫の事務所あり、賢治や花巻への思いの発表あり、とても楽しい時間だった。その中で、「賢治作品の朗読を花巻の土地で」という活動をしている女性が、花巻に訪れたときに、めくらぶどうを見たり風を感じたりするたびに「ありものだぁ!」「賢治先生ありもので書いてらっしゃるんだぁ!」って発見して感動した、と言っていた話が非常に印象に残った。まったくその土地に行ってみないと感じられない発見できないことって多い。
 あと、会場のみんなで賢治の歌を何曲か合唱した時に(精神歌とか)、ほとんど誰もがメロディ知ってて歌えるってことに驚いた。これが花巻に生まれ育つってことなんだろう。まったくその土地に行ってみないと感じられない発見できないことって多い。
 9/22。午前中は宮沢賢治記念館やイーハトーブ館を回って、午後は平泉観光で毛越寺中尊寺へ。別に興味があって行ったのではないので書くこともない。
 花巻に戻って、飛行機の時間まで林風舎で一服して旅行終了。
 花巻駅前の建物の前に「賢治賞贈呈式会場」とかなんとかいう掲示があって、帰って調べたら吉本隆明とか桑島法子とか来ていたらしい。花巻にいる間じゅう「ばったり桑島さんにあえたりしないかな、いやきっとする」なんて思ってたのになんというニアミス!