思い出の丘

『夜明けの刑事』〜『新・夜明けの刑事』〜『明日の刑事』

 10日に坂上二郎さんが亡くなって11日に例の地震で、追悼番組なんて放送されないんじゃないかと思っていたが、ファミリー劇場で今日19日、WOWOWでは明後日21日にやるらしい。どっちも見られない私は、各局で報道される福島第一原発の1〜4号炉を「Aさん」「Bさん」「Cさん」「山田さん」と呼んでせめてもの慰みにしている。
 二郎さんというと、子供のころ『夜明けの刑事』から始まる刑事ドラマシリーズが夕方に再放送されていて、学校から帰ってきてそれを見るのが楽しみで。
「あなたが犯人であることは間違いないんだよ!」
「証拠はあるのか証拠は!」
「現場に残されていた薬莢に、あんたの指紋が残されていたんだよ!!」
「そんなはずはない!!」
「どうしてそんなことが言い切れるんですか!!!」
「俺はあの時手袋をしていたんだ!!!」
 二郎さん演じる鈴木刑事が、どうしても犯人を追い詰める手がかりを掴めなくて、上のようなやりとりで徐々に感情を高ぶらせて犯人の判断力の低下を誘い自供に追い込むという場面があって、その時の二郎さんの、作戦勝ちしたぞっていうしたり顔と安堵の表情が一緒になったような顔が、今も思い出され、この場面があまりに強烈すぎて、5年分もあったシリーズの他の話数のことは全く覚えていない。
 みんな思い出の丘に残してきてしまった。