伝説の男

富野由悠季インタビュー in 『DTエイトロン ダイジェスト』

 無料レンタルされているビデオ『DTエイトロン ダイジェスト』の巻末に収録されている富野由悠季インタビューです。『DTエイトロン』と何の関係があるのか、果たして何が締めくくられたのか。「富野が好きだ!」何度でも、私は叫びます。

クラスター(CV=有本欽隆)による導入:
(画面は1988年、金閣寺にて写された写真。中央に富野、左右には中高生とおぼしい女性が一人ずつ立っている)
 20世紀に、伝説の男がおった噂はワシも聞いとる。写真とかいう古臭いメディアも、こうして見るとなかなか捨てたもんでもないわい。
富野:
 ……むしろ、10年前の自分の立場から考えた時には、むしろ付け加わってくるものが多いんです。であのどういうことかっていうと、死ぬっていうことが予定に入る年齢です。で死ぬっていうことが予定に入ってきた時に分かってくるのは、失っていくものよりも、むしろ、失ったものがあったかもしれない、ということが分かってきて、実は死ぬまでに、手に入れなくちゃいけないっていうものが分かってくる、ていうのがありまして、あ、我々はこういう風にして、失わせてはいけないものだっていうことを努力をすることが、例えばその人と人との互生(?)とか、文化論みたいなものを、とっても大事にしていく心みたいなものを手に入れることができた。これは実を言うと、若い時には、あまりありがたいとも思わなかったし、例えば「金閣寺? 何あれ」ていう風に僕も思ったわけです。が、今になってみると、あ、こういうものがあるから僕が、年を取って、そして年を取っていくってのはものすごく無惨かと思ったんだけども、年を取るなりに分かってくるものがある、つまり身に付いてくるものがあらためてあるってことも、もう分かってきた時に、あ、年を取って死んでいくことがそれほど悪いことでないな、ていう風にもなってきた。(したり顔、F.O.)