千里眼

旅行に2回行ったこと

 青春18きっぷを利用して旅行をしてきた。宮島(厳島神社)と広島(平和記念公園)へ行ったのが1回。門司港〜下関(関門トンネル人道)と湯田温泉中原中也記念館)へ行ったのが1回。括弧内が目当ての場所。
 厳島神社平和記念公園は、両方行ったことがあるはずだけれどもう大昔のことなので今一度と思って行った。何年か前にハネケンが夜の厳島神社でピアノを弾いている映像をテレビで見たのが素敵だったという記憶があったのだけれど、朝の10時ごろに訪れても全く別印象なのであって、潮は満ちても引いてもいない微妙な時間で面白みもなく、ただ島についた途端強烈な鹿臭さに襲われたことだけが強く印象に残った。実は18きっぷ宮島航路も乗船できることに、帰りの船に乗ったところで気がついた。手遅れだった。原爆ドームも慰霊碑も鐘も平和祈念館も平和記念資料館も20年ほど前に来たときの記憶のままで、この平和記念公園を変わらない姿で残し続けていることそのことが取りも直さず平和の実現の証拠なのであるなあと思った。資料館ばかりが人が多くて祈念館の方はガラガラで、祈念館こそ何時間でもゆっくりと留まって考えさせられるところの多い施設なのになあと思った。無料なのになあと思った。
 中原中也記念館に行くのにムーンライト九州を使うことを決めたときに、どうせだから門司まで行って関門トンネル人道を歩こうと思い立った。いつだったかの『名探偵コナン』のミステリーツアーで出てきたので気になっていたという理由もあった。門司港駅関門トンネル人道下関駅のルートをぶらぶら脇道にそれながら歩いたら2時間半ほど掛かった。門司港周辺はレトロさを売りにしていた。関門トンネル人道はどこか殺風景でものがなしい気分になった。ジョギングやウォーキングをしている地元の人と「おはよう」などと挨拶を交わし、福岡−山口県境を何度も越え跨ぎなどした。トンネルを出た先は壇ノ浦なのでそれらしい何やかやがあった。新山口駅にSLが停まっていて、人々が物珍しげにホームに群がっており通行の非常に妨げとなった。中原中也記念館は「小林秀雄中原中也」というテーマの特別展示をしていた。生誕100年記念ということは没後70年ということでもあった。その後中原家累代の墓まで歩いて参って「ホラホラ、これが僕の骨――/見てゐるのは僕? 可笑しなことだ。」とか「蝉が鳴いてゐるほかになんにもない!」とか「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」とか「今は三年の昔の秋まで在世/その秋死んだ弟が私の弟で/今ぢや秋岸清涼居士と申しやす、ヘイ。」とか唱えて帰路に着いた。