歴史を尊ばない

読んだ本

 ここ数ヶ月で読んだ本が両手で数えられるって話です。
 吉永良正『『パンセ』数学的思考』(みすず書房)は「理想の教室」シリーズの初回配本中の1冊。読んでから大分経ったおぼろげな記憶では、「神が存在することに賭けた方がお得じゃね?」って内容だったように思う。
 白田秀彰『インターネットの法と慣習』(ソフトバンク新書)。さきの冬コミで学漫島を巡っていたら「ロージナ茶会」のスペースがあって、その茶会がなんなのか知らないし本人も席を外していていないけど面白そうな同人誌だったので買って帰ったのが、著者を知ったきっかけ。明らかに順番おかしい。で、本書は示唆に富んだ良書でしたから、近影の素敵な著者にコミケでお目に掛かれなかったことが悔やまれます。
 カフカ池内紀訳『変身』『流刑地にて』『断食芸人』(白水uブックス)。「カフカ・コレクション」全8巻持ってるのにまだ手をつけてなかったので、とりあえずこの3冊を読んだ。未読の『城』と『失踪者』(『アメリカ』)を先に読めよと思うけど、長いので後回し。

(……)わたしといえば、もはや我慢がならなかった、いてもたってもいられない。それでつい、檻の中でお洩らしをしてしまうのです。相手の男にはそれがまた、ことのほかうれしいらしいのです。酒瓶を両手にかかえて、ゆったり持ち上げて口にあてがい、大仰にのけぞりながらひと息に飲みほすのです。わたしは眺めているだけで精も根もつきはて、格子にすがりついたままへたりこんでいたものです。これにて講義は終了というわけで、その男は腹を撫でまわしながらニヤリと笑います。
(「ある学会報告」『断食芸人』p.81)

 エロい。猿だけどエロい。ってはしゃいでたら、でも実は岩波文庫の『カフカ寓話集』で読んだことがあるらしかった。ぜんぜん記憶から飛んでる。ほかに「歌姫ヨゼフィーネ」が凄いなあと新鮮な驚きを抱いたときも、やはり実は同書で既読だったとか。なんておめでたい自分なのかと。
 残りの本については後日。