永遠の内外

『イーダ』

 修道院で育ち、修道誓願を間近に控えたイーダ。自分には叔母がいることを知らされ、イーダは叔母に会いに行く。そうして叔母と二人、自らのルーツを辿る旅に出ることになる。
 その後なんやかやあって、イーダは、アルトサックス奏者と一夜を共にする。「海を見に行こう」という男に、「それから?」とイーダは問う。「犬を飼って結婚して子供を」「それから?」「家も買おう」「それから?」……
 作中、イーダは何度か「永遠に」という言葉を使う。修道院での暮らしは、この「永遠に」と結ばれてあることだといえる。一方で、修道院の外は、それまで(ルーツ)とそれからとがある世界だ。
 最後にイーダの歩いて行く道が、どこへ向かうものであるか、私には言い得ないけども、両者のはざまに、確かにあって、かすかに揺れた、イーダを、この映画は見せてくれたのだと思う。