よきところ、よき恋人

どなたか存じませんが有難うございます。

「まほら」「まほらま」「まほろば」というのは聞いたことがありましたが、「まほらば」は初耳でした。そんな訳で自分でも調べてみました。

  • 広辞苑』(初版・第五版/岩波書店)…「まほら」の項の説明文中にあり。見出し語としてはなし。
  • 大辞林』(三省堂)…なし。
  • 『カラー版日本語大辞典』(講談社)…なし。
  • 『国語大辞典』(小学館)…なし。
  • 日本国語大辞典』(13v./第二版/小学館)…なし。
  • 『角川古語大辞典』(5v./角川書店)…なし。
  • 『大辞典』(2v./覆刻/平凡社)…見出し語としてあり(「=まほらま」)。

広辞苑』にこそ載っているものの、新しい辞典では5巻ものの古語辞典でさえ記載がありませんでした。また、「まほらば」としての用例・出典まで紹介されている辞典は、今回調べた中にはありませんでした。以上のことを踏まえると相当の古文通しか知らないのではないか。どこかしらで実際に使われているのを見たことがある、さらには何々のどこそこに出てくる、ということまで分かる人といったら上代研究者か国語学者くらいのものなのではないか。そんな印象です。『万葉集』か『古事記』か、たぶんその辺なのだろうとは思うので、索引か何かで調べたら分かるのかもしれませんが、そこまでの気力がありません。
 ともあれ、「まほらば」があるらしいということは分かりました。そのうえであえて(だからこそ)言えば、これら複数の呼び方がある中で恐らくもっともマイナーな「まほらば」をタイトルに選んだのはそこに「lover」の音を作者が見て取ったからだ、と推測することはできるのではないかと。というかそうすると私が楽しいです。