「すべてがユメとなる」

青い花を咲かす神秘ノヴァーリスの扉を」

 ノヴァーリス作;青山隆夫訳『青い花』(岩波文庫)を読んだ理由が『メルヘブン』のOPだなんて、口が裂けたから言うようなものの普通なら言わない。松岡正剛の千夜千冊でちょうどその箇所を読んだからってのもある。(132夜『青い花』ノヴァーリス|松岡正剛の千夜千冊
 第1部第5章に出てくる未知の言葉で書かれた本にハインリヒが見た既視感は、輪廻の可能性を示唆するものだとも言われるが、それよりもまず単純に、『青い花』を読んで我々が既視感を覚えるという構図への転移を用意する仕掛けとも取れる。本の結末の欠如がまた、奇しくも未完に終わった『青い花』を容易に連想させる。そうして我々はハインリヒと合一して、ハインリヒとして巡礼する。
「神秘」に「ノヴァーリス」と振るってのはしかし、本邦第一級の詩業だと思う。