幸せが戻ってくる

英國戀物語エマ

 アニメ最終話まで。実は13話あると思っていて、第12話を見終わったあとでさえ「残り1話、どうやって終わるのかな」なんて暢気に構えてたら、「今回で"アニメ エマ"は終了しました。7月4日からは新番組『ダカーポ』をお送りします。お楽しみに…」ときた。これは恥じなくてはいけない。いつ最終話であっても恥じることのない姿勢でアニメを見るのでなければ。
 エマの向かいに乗り合わせた乗客の最後のひと言は、遠い未来の希望を提示して一片の救いを与えるものであるよりも、今幸せが離れてしまっているということをこそ強く引き立てるものになっているという印象を受けた。エマ自身にしてみれば、一度すでに涙も流したことだし、ウィリアム宛の手紙にあったような「不思議と平穏と静寂に満たされ」た心に再び帰ってただその言葉を聞いたかも知れない。
 カメラが俯瞰で遠ざかっていくにつれ、エマを乗せた列車は深く深く画面の奥へと沈んでいく。ていうほど遠ざかる前にカットは変わって、線路の続く先を見晴るかしてエンドとなるものだから、君はどう見るかい。
 ともかく、最終話と知らずに見た私の感情置いてきぼりで、それでこんな印象なのだろう。それでも傍で(テレビの外側で)見ている分には「希望はあるのだ」と言いたくある。花売り少女だって祝福している。のにこの重く暗い雰囲気はどうだ。ロンドンの霧のせいか? たとえエマが幸せになったとしても同じような境遇の子供がいくらでもいるし現れることを思ってしまうからか? この先どうなったとしても舞台は19世紀で私たちは21世紀でこの溝は埋めようもなく取り返しようがないからか?
 どうも煮え切らない。