二人連れの孤独

上野修スピノザの世界』(講談社現代新書

 手頃な解説書がなかったから今まで手を出していなかったところにこの本が出て読んでみれば、私がスピノザでした。「神はいまし、こともなし」っていつも言ってるでしょ。今夜みたいに静かな夜に、臥所で睦み合いながら、さ。
 冗談はこのくらいにしておいて(この場では冗談ということにしておいて)、NHKスペシャルアインシュタイン・ロマン』で「ひとつの石はひとつの石でありたい」「石を投げ上げると、上昇しているときは上昇しようと意志している、下降しているときは下降しようと意志している」というような話があったことを、読んでいて思い出した。そうして読んでいたら、図らずもアインシュタインの名が出てきて驚いた(p.176)。本当に唐突で、それきり投げ出されたような格好で出てきたので、その登場の意図が判りかねる箇所ではあるのだが、もしかしたら著者も『アインシュタイン・ロマン』のことをここで念頭に置いていたのかもしれない。もしかしたらもっといろんなところでこの話は使われていて私が無知なだけなのかもしれない。そしてもちろん、もしかしたら全く関係のないことなのかもしれない。