「え、飲み食いの話か、飲み食いの?」

春新番その34

  • しばわんこの和のこころ』……犬が正座してるのも気持悪いが、作法に則って立ち上がる様ときたらどうだ! 急須でお茶を注ぐ様はどうだ! 我が目を疑うほどショッキングでありました。

新潮文庫シェイクスピアの残り2冊

 シェイクスピア福田恆存訳『リチャード三世』『じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ』(新潮文庫)を読んだ。
「リチャード三世」は、台詞の掛け合い、応酬が、読んでいてとにかくぞくぞくする。「炉を出たばかり、まだほとぼりの冷めぬ金貨も同然、成りあがり貴族のお前を、世間はそう簡単に通用させまい」(第一幕第三場)って巧い罵り文句だ。
じゃじゃ馬ならし」は、カタリーナの末路があわれで、しかしそこが面白いところ。
「空騒ぎ」は、ベネディックとベアトリスの才気煥発な冗談のやりとりと、その雰囲気が「殺して、クローディオーを」(第四幕第一場)と言う場面で一気に張り詰めたものに転じるところが読みどころで、この二人が殆ど主役を食っている。
じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ』の帯に「いったいどんな魔法をつかったの?」という文句が書かれているんだけど、その横に「文字が大きくなって読みやすくなりました」とあって、まるでそれが魔法であるかのようです。ちなみに文字が大きい方が読みにくいです。
 ひとまずの目標は達成して、残った作品で気になってるのは、かの有名なフォールスタフの登場する「ヘンリー四世」、悲劇(惨劇?)「タイタス・アンドロニカス」、三大喜劇の一とされる「十二夜」(あとの二作は「お気に召すまま」と「空騒ぎ」らしい)なんだけど、これはいずれ白水社の全集で読むか、ちくま文庫で松岡和子訳が刊行中なのでそちらで読むかしたい。