天沢退二郎『光車よ、まわれ!』(ピュアフル文庫)
ブッキング復刊版も買っていたものを、今になって文庫版で読んだ。
考えているうちに、ルミの小さい胸にあつい火のかたまりがうまれてきた。これはすごい、いのちがけの冒険だわ。よーし、がんばらなくっちゃ!
(p.109「ルミの冒険(一)」)
一郎たちのグループとはあるいは並行的に、あるいは交差的になされるルミの冒険が、作品全体が息の詰まるような閉塞感、暗いトーンに打ち沈んでしまうことからうまく救ってくれているのだと思う。ルミの胸に宿る熱い使命感やルミの恐れの知らなさ等のために。