結城浩『数学ガール／フェルマーの最終定理』（ソフトバンククリエイティブ）
続編が出てたのを知って買って、やはりやめるにやめられず一晩で読んでしまった。
胸ポケットに眼鏡を忍ばせていて、照れると猫口調になって、「従妹は四親等ですからね」と牽制してみせる、そして当然主人公を「お兄ちゃん」と呼ぶ、出来すぎなまでに出来すぎた萌えキャラを新たに加えて、恋の争奪戦はなお熾烈さを増して大変。
フェルマーの最終定理が証明されて14年、アップトゥデートな話題ではもうなくなってしまったわけだけれども、こうして高校生が数学に戯れるその延長線上にワイルズの証明を持ってきて、それは君たちのいる場所から地続きのところにあるんだよと示してみせてくれれば、これは従来とは新しいアプローチから成った得がたい１冊だと思う。
数学における各分野間のつながりや、数学者たちの時間を越えたつながりの、不思議さ、面白さを、一人でも多くの人がこの本を読んで、感じてくれたらと願う。
