「五円、貸してくれないか」

人間失格

 今日公開の映画『人間失格』を見てきたらなぜか中原中也がカッコよくって優しくて。しかし鎌倉の寺で中也を千里眼と称し中也が「ボーヨー、ボーヨー(茫洋、茫洋)」と言ったというエピソードは、小林秀雄とじゃなかったかと思ったんだが。完全にオリジナルのエピソードを追加するならともかく、こういうのはちょっと頂けない。こんな挿話をしておいて「葉蔵は太宰自身といわれています」とか言われてもねえ。
「世間じゃない。あなたでしょう?」も「神に問う。信頼は罪なりや。」も出てきそうにないな、というのは割と序盤に分かる。そもそも独白らしいものがまったくないので。原作の地の文に当たる部分は敢えて用いないということらしい様子なので。
 平目役が石橋蓮司で出てくるたびに笑ってしまった。
「青い文学」シリーズの能登麻美子のときもそうだけど、良子役石原さとみって、スタッフはどれだけ願望を充足すれば気がすむんだ主に私の、少しは自重しろと思わなかった。