「この本には/始まりはあるが/終わりはない」

数学関連2冊

 結城浩数学ガール 乱択アルゴリズム』(ソフトバンククリエイティブ)は、アルゴリズムの速さを数学的に評価するためには、定規や秤のようなあらかじめ用意された数式があってそれにアルゴリズムを代入すれば済むというわけにはいかなくて、だから個々のアルゴリズムを評価する過程において、その評価の方法が妥当であるか、さらにその厳密性が問われてくるのだと、ミルカさんが読者の僕に教えてくれた。これまでの巻で少しずつ成長してきたテトラちゃんがその成長を発揮する見せ場をたくさん持てて、読者の僕がしみじみ。
『〜乱択アルゴリズム』が分厚いので、途中で息抜きに読みはじめて先に読み終わったのが野崎昭弘『πの話』(岩波現代文庫)。『セラフィムコール』#7「柊彩乃〜〈私〉という逆説〜」からの連想で昔読んだことがあったのだけど、文庫になっているのを見つけたので再読。身近な実験例や多彩な図版や歴史的背景を伝えるコラムなどで、対象としている読者層である中学生向けに興味をひき理解を促進するよう工夫されている。
 そうして以前とは逆順に、『πの話』を踏まえたうえで『セラフィムコール』#7を今度は見てる。