「どんな呪文より確かに」

アスタロッテのおもちゃ!』#5〜12(終)

 思い合う二人には、究極的には言葉は必要ではないのかもしれない。言葉に頼らなくても最後のデートは十分に成立して進んでいく。それでも言葉は溢れるのであって、思う相手への言葉というものはだから、はじめから必要をこえたところのものなのかもしれない。
 互いの声が聞こえないから、素直な思いをそのまま飛び交わさせても我々にこっぱずかしさを覚える余裕を与えないのだろう。これは作劇上の仕組みの話。そうして伝わらなかった言葉は、あらためて胸のうちに取っておかれて、かえってはっきりとした形となって、約束のように二人をつないでいてくれるだろう。こちらはただの希望の話。