「僕のすべて 君がくれた道」

『ファイ・ブレイン 神のパズル』#24「永遠の存在」

 はじめこそたこ焼きデートみたいなことしていても、いつしか二人のデートはパズルデートになっていく。それはもうどうしたって二人の自然がそうさせたようでもあるし、ルークがそう仕向けカイトがそれを思いやった成果のようでもある。そもそもこの両者は、どちらと分けて考えることのできないものかも知れない。ただ、二人はともに接近を欲した。その接点にパズルがあった。

カイト「おまえ本当にパズルが好きなんだな」
ルーク「カイトも、昔はそうだったじゃない。友だちは、パズルだけ。けれどカイトは、パズルを船として旅立ち、仲間と出会い、世界と友だちになった」
(ルーク、スティックシュガーの組み木パズルを完成させる)
ルーク「よし、できた!」
カイト「いいパズルだ」
ルーク「ここがカイトの住む街――清潔で明るくて、幸福で、仲間がいて、みんな笑顔で」
カイト「俺だけじゃねえよ。その気になりゃおまえだって」
(カイトの端末に着信が入る。カイト、驚いた拍子に机にぶつかる。組み木パズルが崩れる。着信はノノハからである)
(#24「永遠の存在」)

 ノノハからの着信は、とりもなおさず世界からの着信である。カイトはルークを世界の側に連れ出したいと願う。しかし世界は二人をつなぐものを壊してしまう。それを見てとったルークは、かつてカイトを奪い今また奪おうとする世界への憎しみをあらためて強くする。
 二人のデートはさらに進んで否応がない。話は二人の思い出に向かう。あの草原。楽しかった日々。

カイト「一緒に戻ろうぜ、ルーク、あのころへ。いや戻してみせる。それが、俺の解くべきパズルだ!」
ルーク「カイトの人生も、僕のパズルに組み込まれている。逃げることはできない」
(同)

 自分のパズルでどちらかが死ねば、それによって二人の永遠が完成する。そうルークは考える。永遠の僕たち。それだけが唯一の解として導かれざるを得ない、ルークの仕組んだ究極のパズル。
 一方でカイトが「戻ろう」というとき、それは思い出のなかへと回帰しそこに閉じこもってしまうことを意味しない。思い出の時点に、思い出の地点に立ち返り、そこから世界へと接続する道を、今度は一緒に歩みたい。それがカイトの思いであり決意である。
 いまや二人のパズルは違ってしまった。それでも、二人が現状をパズルになぞらえるかぎり、可能性は残されているように見える。パズルという言葉に、パズルというものに、大事なものを託さずにはおれない二人ならば。パズルはやっぱり二人の絆であったのだ、と笑って思える最終回を待ちたい。
 そう言いながら、僕はそのとき泣くような気がする。
 *
 ルークとの溝が深まるにつれて、エンディングの歌が沁みてくる。ルークのほうの心情の歌なんだよなあこれ。