早見裕司『小説モルダイバー』（アニメージュ文庫）
今、皆さんがこの小説を読んでいるのは1990年代のいつかだと思うのだが（まさか21世紀までのロングセラーになってはいないだろう）、つい先日、作者は知り合いの高校生からおそるべき話を聞いた。
（p.89）
『スペース☆ダンディ』＃５「旅は道連れ宇宙は情けじゃんよ」に出てくる花澤香菜の宇宙人が666秒しか能力を使えないというので、それで『モルダイバー』を思い出して、こんなこともあろうかと昔の私が買っておいた小説版を、2014年に読んでしまった。残念ながらロングセラーにはなっていなくても、こういう場合もあるですよ。
ジャケットの紹介に「描くはリリカルの旗手・早見裕司さん」とあり、これはまたすごい二つ名を付けられたものだなあと思っていたら、あとがきで「なにせふだんは『リリカルな』（自分で言うかな、こいつは）根の暗い話を書いているもので」（p.192）と言っており、堂に入ったものなのだった。
