「シンゴー、シンゴー」

シン・ゴジラ

 巨費を投じて作られた渾身の脱力ギャグ映画、という印象。ヤシオリ作戦の間中、あんぐり開いた口が塞がらなかった。そういう方向に面白かった。
 最終作戦に当たり、作戦名が長いという矢口に、役所のすることですからと答える統合幕僚長。ごく短い思案のあと、矢口は「ヤシオリ作戦」と命名する。振り返ってみると、この作戦名の提示が、ここから本格的にギャグで行きますよという予告だったのだと思える。
 もっとも、それ以前にも、しばしの息抜き程度のギャグシーンはある。急遽招集された御用学者たちの杓子定規な見解の開陳、記者会見のために防災服を用意させる総理、等々。
 そんな中、これはギャグシーンと言っていいのか分からないが、ゴジラ最初の襲撃で、首相以下閣僚一同を乗せたヘリがあっけなく撃墜される場面は、「ええーっ、それやっちゃうの!?」という驚きに、「福島第一原発の事故直後、上空からの視察を断行した総理のヘリがああなっていたら最高に面白かったのに」という当時誰もが夢に描いた(よね?)ことを映画の中でやってくれた、その甘美な悦びが伴って、味わい深いものがあった。