『トロピカル~ジュ!プリキュア』#40「紡げ! みのりの新たな物語」
「マーメイド物語」には、駄目なところがいっぱいある。キャラクターも物語もありがちで、自分自身の経験したことが入っていない――。
かつて自作に向けられた批判を、みのりは今も引きずっている。
トロピカる部で「マーメイド物語」を演劇にしようという提案にも、だからみのりは尻込みする。それでも、気に入らないところは書き直せばいい、そうローラに促されて、みのりは再び「マーメイド物語」に向き合おうとする。自らの傷に、恐る恐る触れはじめる。
しかし、「マーメイド物語」は本当に、さきの批判に言われるような空っぽの作品なのだろうか。
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「マーメイド物語」の作中でキーとなるアイテム、伝説のパパイヤ。それを食べると、すごい力を得られるという。
この設定のために、当時みのりはパパイヤについて、本でいろいろ調べていた。そうして知識の上ではパパイヤに詳しくなったみのりだが、実はこれまでパパイヤを食べたことがなかったことに気づかされる。頭でっかちで駄目な私……。
それは君の良いところじゃないか! 大きな声でそう言いたい。
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みのりがパパイヤを食べたことがないこと、それこそが、不思議な力の萌すよすがだ。食べ慣れてありふれた果物ではないからこそ、みのりはそこに不思議の香りを感じたはずで、伝説のパパイヤとはしたがって、「マーメイド物語」に刻み込まれたみのり自身ではないのか。