「すごい……みんなの歌になっちゃった。帰ってきたって感じ、ポピパに」

BanG Dream! 2nd Season』#12「Returns」

 ライブ直前になってたえは、「Returns」のラストに詞を書き加える。「ありがとう…/心が震えだす歌 Returns」と。

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「Returns」については、それまでにも曲中で歌われている。「心震わす歌 Returns」、あるいは「時を彷徨う歌 Returns」。このように言うときの主体は歌だ。歌が、心を震わす。歌が、時を彷徨う。つまりこれらは、歌の側から書かれた詞であって、逆から言えば、ここまでの詞を書いているときのたえは、この歌の側に立っている。

 さて、ライブ当日。

 はじめは自分が作った「Returns」、自分自身をぶつけた自分の歌だった「Returns」を、Poppin'Partyの皆が受け入れてくれ、今の形に出来上がった。これはもう、ポピパの歌だ。「Returns」は、いつかたえからはみ出して、たえを大きく包み込んでいた……。その思いが強まったとき、たえは、先のフレーズを歌詞ノートに書き加える。

 心が、震えだす歌。

 外側とはいわないまでも、「Returns」がある種客体化されたことで、はじめて生まれたこれは詞だ。

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 そうしてたえは香澄に告げる。

「香澄に歌ってほしい。「Returns」は、ポピパの歌だから」