天涯を比隣とする

『グッバイ、ドン・グリーズ!』

 中学の課外学習のときにチボリがロウマのカメラを借りて撮った一枚の写真。それに目を留めたドロップに、こんなきれいな青に染まった写真を自分は撮れないとロウマは言う。しかしドロップはその言葉を訝って、この写真でチボリが撮ったのは青じゃない、赤だと返す。

 一面の野に咲く青い花。そこをまさに今飛びあがる、天道虫の赤のひとすじ。

 ドロップに指摘されたことをきっかけに、ロウマはこの写真をSNSに投稿する。するとほどなく、チボリがそれに応答して、別の写真を投稿する。同じ課外授業のときに、ひそかにロウマを撮った写真を。あの青い野の中を、ロウマはひとりで、赤いシャツを着て――。

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 思えば、ドン・グリーズの三人が探すドローンは赤、アイスランドの原野のどこかにドロップが求めた電話ボックスも赤で、この映画は、赤い物を見つけることの反復の物語になっている。そして、反復の必然として、これら赤い物を見つけることは、それが示しているのは、すべて同じことなのだ。

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 止しなよ、つまらない指摘だよ。

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 空の青海のあをにも、と言うけれど、それを見つける人もまたいて。