ぼくに妹はいないよ

『天上の花』

 三好達治への共感・理解を全くしかねるように作られていて、それは良かったように思う。

 売れない、お金にはならない価値というものがあるはずなんだと言う一方で、心の離れた妻を引き留めるためにはお金を渡すことしか思い付けないアンビバレンツ。去りゆく妻に、一万円あげれば傍にいてくれますか、とこの期に及んで呼びかける顔の、得体の知れなさ。