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王国の授かりもの

最近読んだ本 永井均『西田幾多郎 <絶対無>とは何か』(NTT出版)。西田の講読に昔出てたおかげで、わりとすんなり入ることができた。第二章に出てくる、過失犯デカルトに対する二人の対極的確信犯ウィトゲンシュタインと西田、という対比の構図になるほど…

もっと!もっとモットときめき

『映画 Yes! プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』 動員数がすごいと聞いていて、行って実際超満員だった。長峯達也が監督だった。楽しげだった。ミラクルはともかく、大冒険というほどのことは特段していなかった。ワルでダークでカッコイイ西村ちなみ…

「到る処の悪左衛門」

『貝獣物語』(ナムコ/FC) 発売当時に購入してクリアに至らなかったゲームをクリアしちゃおうシリーズ! と書いてみたけど、そんな話題今まで他にしていなかったらしい。ともあれ『貝獣物語』をクリアした。 キャラが可愛い(名前からして「クピクピ」「ポ…

「僕は最う一層、その上を、物語、そのものになったんだ。」

佐藤友哉『灰色のダイエットコカコーラ』(講談社) すべてが主人公を応援し支え後押ししてくれているね。そうして主人公は人間になれたのだね。あはは。サクラダファミリアのくだりが素晴らしい。 これを読むと『1000の小説と〜』はずいぶん分かりやすく書…

太初にあった言葉の残響

楽典 読み終わりました。記譜をするうえで注意すべきこととか、調のこととか和音のこととか、西洋音楽の基本中の基本でも知らなかったことは色々あったので、そのあたり理解できたのは良かったのですが、それでミクさんに歌ってもらうのに何の役に立つのかと…

学天則

初音ミクさんがやってきた ので試しに著作権切れの「星めぐりの歌」(宮沢賢治)を打ち込んでみた(家にある楽譜で思いついたのがこれだけだったので)けれど、特にニーズもないと思うのでアップしない。パラメータ調整はまだよく分からない。今は昔買ったき…

「 だから、ゲームが、面白い」

最近読んだの 新しい本では『わたくし率〜』とか『国のない男』とか『悲望』など読んだ。それから、『灰色のダイエットコカコーラ』のために「灰色のコカコーラ」を読んだり、『十七歳の地図』のために「十九歳の地図」を読んだりした。あとは『アタとキイロ…

「思い出さなくてはいけないのだろう。」

読んだ本いろいろ ゆずはらとしゆき;海野十三原作『十八時の音楽浴 漆黒のアネット』(ガガガ文庫)は、設定の細部というか根幹部分がちょっと分からない怪しいところがあって、でもそんなことは問題ではないといわないばかりの力技でまとめ上がってしまっ…

「ダイジョウブ。殺すと言っても、きっちり半分だけですわ」

『史上最強の弟子ケンイチ』#38 Bパートに入って作画がやり放題なことになっていた。たぶん紅組という原画チーム(?)の仕業なのだと思う。演出にも名のあがっている加藤洋人が中心的な存在なんだろう。作監3人(加藤、石川慎亮、大澤正典)も立てて、そ…

正義

「シリーズ・哲学のエッセンス」の2冊 予告どおり飯田隆『クリプキ ことばは意味をもてるか』(NHK出版)は読んだんだけど、そのあと続けて斎藤慶典『デリダ なぜ「脱-構築」は正義なのか』(同)を読んだのでそれどころではない。この副題の名づけ方が安易…

あゝ十八時の音楽浴だ、音楽浴だ音楽浴だ

跳訳シリーズ ガガガ文庫の跳訳シリーズを読む前に、ということで青空文庫で海野十三「十八時の音楽浴」と夢野久作「人間レコード」を読んだ。もっとも、「人間レコード」の方は以前『ひょっこりひょうたん島』の人間レコードの回を見たときに夢野久作に同名…

碑銘がうまく乱される

森本浩一『デイヴィドソン 「言語」なんて存在するのだろうか』(NHK出版) 寛容はひとつの選択肢といったものではなく、使いものになる理論を得るための条件である。それゆえ、それを受け入れればとんでもない間違いを犯すことになるかもしれないと考えても…

「武満、それは他の誰でもない君がそう書いたからなんだ」

詩についての本を読む 谷川俊太郎『詩を考える』『詩を読む』(以上詩の森文庫)、同『詩ってなんだろう』(ちくま文庫)を読んだ。 これは一般的な話ではなくて、あくまで私個人の話だが、作品に関しては、そこに書かれている言語の正邪真偽に直接責任をと…

あかいうみにはあかいふね

谷川俊太郎『詩を書く』(詩の森文庫) 『詩を書く』『詩を考える』『詩を読む』の三部作が出揃っていたことをつい最近知ったので、1冊目のこれから読み進めていってるところです。今2冊目の途中。で、合間に息抜きに若林真理子『ひまわり』を聞いたり。当…

われらの同時代人

吉本隆明『詩とはなにか』(詩の森文庫) 吉本隆明がまたいいことを言っています。40年以上前の話ながら。「現代詩のむつかしさ」中、谷川雁の詩「商人」を読み解く件などは殊に痛快。 他には例えば、「庭つ鳥」という言葉と「鶏」という言葉の間に(或いは…

崇高

J.-F.リオタール;管啓次郎訳『こどもたちに語るポストモダン』(ちくま学芸文庫) 熊野純彦『カント 世界の限界を経験することは可能か』(NHK出版)を読み終わったので、流れで『こどもたち〜』の第一の手紙を読みました。カントの「崇高」概念について触…

全体と部分と

熊野純彦『メルロ=ポンティ 哲学者は詩人でありうるか?』(NHK出版) p.40辺りまで読んで、部分の連合によって全体の意味が結ばれるのではなくて、実際はその逆、全体が前提としてあってそこから部分に意味が配分されるのだ、というような箇所がちょっと引…

「ユニヴァース!」

藤公之介『ザ・オーディション』(せいこう出版) 「ノーバディ・16ビート・宇宙」ってセリフないじゃん。騙された。やっぱり何とかして映画の方を見なくてはなのだろうか。 言わずと知れていない恐れがあるので言っておくと、セイントフォーの小説です。し…

lattar half

NHK囲碁トーナメント決勝 をこれから見るわけです。趙十段がゆうきっち(或いはマサラタウンのサトシ)なんかに負けるもんか。 とその前に、4月からの講座に陽光君が登場らしいという情報。 もう50冊 ずっと気になってたのは何で勝手に50冊に縮小してしまっ…

first half

50冊 当たり前の顔をして今更50冊選ぶんだ。 【詩歌】 1. オマル・ハイヤーム;小川亮作訳『ルバイヤート』(岩波文庫) 2. 石川啄木『一握の砂・悲しき玩具』(新潮文庫) 3. 萩原朔太郎『月に吠える』(角川文庫) 4. 中原中也『中原中也詩集』(新潮…

絶対知の他人

いとうせいこう『波の上の甲虫』(求龍堂) 手紙の内容とノートの内容と、どちらがフィクションでどちらが現実かがだんだんあやふやになってくるんだけど、最終的にはそれどころではないことになる。誰も出したはずのない絵手紙が届いたということは勿論だが…

「時間なんて存在しないから」

カート・ヴォネガット・ジュニア;朝倉久志訳『タイタンの妖女』(ハヤカワ文庫SF) 「だれにとってもいちばん不幸なことがあるとしたら」と彼女はいった。「それはだれにもなにごとにも利用されないことである」 (p.330) 『爆笑問題のススメ』の最終回で…

「だとしたら――倒されたのは僕だ。」

野村美月『“文学少女”と繋がれた愚者(フール)』(ファミ通文庫) 『わたしはあなたを信じています。あなたは勝利を得る方です。あなたの誠実と、本気さは、あなたをどこまでも生長させます。淋しい時はわたしがついています。しっかり自分の信ずる道をお歩…

ガスコン兵

川上未映子『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(ヒヨコ舎) を読んだってのが2006年末から2007年初にかけて私がなしえたことの殆ど全てです。いや殆どなんてもんじゃなくもう全く全て、全全てです。屋根の下に王が納まって「全」とは凄い漢字だ…

Und wir haben sie geto”tet.”

ジョージ・スタイナー;喜志哲雄、蜂谷昭雄訳『悲劇の死』(筑摩叢書) 図書館で借りたのはいいけどまだ1ページも読んでない。この週末頑張って読みます。

入不二法門

入不二基義『ウィトゲンシュタイン 「私」は消去できるか』(NHK出版) ウィトゲンシュタインの考えた徹底された独我論、無主体論、私的言語論についての本。そんなことは目次を見れば分かりますか。いわゆる独我論、いわゆる無主体論との対比のうちに開示展…

小説そのものへ

佐藤友哉「1000の小説とバックベアード」(『新潮』2006年12月号掲載) 掲載を知って慌てて買って読んだ。小説の限界を漸近線としてそこへ向けてひたすら落ち込んでいっている、というのが佐藤友哉に対する印象だったのだけれど、そろそろ小説と氏とがぴった…

「向こうを覗いて見るためよ 見るためよ」

宮崎哲弥『新書365冊』(朝日新書) 帯の文句どおり、「ミヤテツさん、読み過ぎです!」って感じ。こちとらこの1冊を読むだけでもどれだけ時間が掛かることか。とりあえず最初の2章と第16章「問題な新書」、それに最終章のインタビューだけ読んで、あとは…

「両足折れなば 手にて走らん」

ステュアート・シム著;小泉朝子訳『デリダと歴史の終わり』(岩波書店) 肝臓の検査をしてきました。おかげで1冊本が読めました。 「歴史の終わり」に関するさまざまな言説を向こうに回して、「歴史の終わりに遅れて来たってイイじゃないか」と言ったデリ…

肯定する

野矢茂樹著『入門!論理学』(中公新書) 一体何度入門してるのか俺。 あんまり初学者向けではない気もする。いくつか論理学の本を手に取ってみたけど挫折しちゃった、って人にはちょっと毛色の違う本として薦められるかも、という感じ。おぼろげに知ってい…